あなたの“教え”は、いま誰のためですか?
— R: THE HIEROPHANT(逆位置 法王)—
「伝えること」と「押しつけること」は、
本当に紙一重なのかもしれない。
THE HIEROPHANT(法王)の逆位置。
このカードを見たとき、思わず噴き出しそうになった。
いや、ちょっと待って── **この顔、最近ニュースで見すぎてる気がするんだけど。**
■ 視覚で読む、逆位置HIEROPHANTの要素
法王は本来、知識・信仰・道徳・導きの象徴。
聖職者として人々を“つなぐ”存在です。
……が、この逆位置カードに現れたのは、
壇上で拳を振り上げ、怒りの演説を繰り広げる“強すぎる指導者”。
金のシンボル、赤いローブ、背景の十字架──
装飾は完璧なのに、表情は険しく、言葉には説法ではなく“怒り”が乗っている。
足元にはひざまずく二人の弟子。
笑ってるように見えるけど……あれ、完全に「イエスマンの顔」。
このカードを描いたとき、意識していたのはこんな構図:
- 声が大きい“だけ”の教え
- 道徳と怒りの境界線が曖昧な説法者
- 信頼ではなく“押し通す力”で成立している場
- みんな笑っているけど、誰も心からは聞いていない
- 「正しいことを言ってるはずなのに孤独」な立場
■ 紫運の視点:その“教え”、誰の得になってますか?
自分が何かを伝えたいときって、
最初は“思いやり”なんですよね。
「これ、役に立つかも」
「自分の失敗を活かしてもらえたらいいな」って。
でも、それがうまく伝わらなかったとき──
相手の反応が鈍かったり、ずれていたりすると──
だんだん語気が強くなってくる。
「なんで伝わらないの?」
「こう言えばわかると思ったのに」
「そっちが理解できてないんじゃないの?」
……で、ある日ふと気づくんです。
あれ? 今の自分、完全に“教えてやってる顔”になってない?
そして最近、もっとゾッとしたのが、
ビジネス界の“誰かさん”が、世界のルール側に立ってしまった今の現実。
ビジネスで頭が回るのと、
社会のルールをつくるのは、まったく別の話。
倫理の薄い人が、“国レベルの仕組み”に手を突っ込んだ瞬間、
欲と計算のルールが“正義の顔”をして動き始める。
今、関税の数字ひとつで世界経済が揺れてるのも、
突き詰めれば「自分の得」のために“教え”を掲げてるからなんじゃないか──
この逆位置の法王を見て、
私はニュースで見た、あの顔と、
うすら笑いの周囲の顔と、
“共通した気味悪さ”を感じてしまいました。
■ このカードの象徴・キーワード
- 【正位置】知恵・指導・信仰・倫理・つながり・共有
- 【逆位置】教義の押しつけ・偽善・権威の乱用・説教くささ・迎合される孤独・自己正義の暴走
■ シーン別リーディング
💘 恋愛
「言ってることは正しい」けど、相手の心が遠のいてる──そんな気配を感じたら、一度“話し方”を見直すべきかも。
💼 仕事
「教えてるつもり」が「潰してる」になってないか?
マニュアルや正解にしがみつくと、後輩はついてこない。
🤝 人間関係
「正論」が“武器”になってしまったとき、人は離れていく。
共感を忘れたアドバイスは、ただの攻撃です。
■ 今日のまとめ
- 逆位置の法王は、「伝えること」の暴走を象徴する
- “正しさ”が怒りにすり替わった瞬間、教えは人の心に届かなくなる
- 人に伝える前に、自分が「聞く力」を持てているかが問われている
📌 次回予告
次に登場するのは──
選択と美しさの象徴だったはずの“恋人”のカードが、
逆位置になったとたん、「目を逸らされる」「背を向けられる」物語に変わってしまった一枚。
愛も友情も、きっと“選び合う”ものだったはず。
でもその人が、こちらを見ていなかったら?
第六回は、“選ばれなかった者”の心の形を、お届けします。
🧙♀️ 紫雲 – Shiun
タロットと紫微斗数を中心に活動する占い師。
「カードの絵柄は、心の鏡」をモットーに、ゆるやかに読み解いています。
📷 Instagram:@HarukazeShiun