逆位置のコラム 第9回

占術

閉じた扉の中で、光が見えなくなるとき

R: THE HERMIT(隠者・逆位置)


「もうちょっと一人で考えたいな」って思うこと、ありますよね。
静かに自分と向き合いたくなるとき。
周りがどうこうじゃなくて、自分の内側を整えたくなるとき。

《隠者》はそんなときに現れるカードです。
でも――
このカードが逆位置で出たとき、それは
“内省”が“迷子”に変わってしまっているサインかもしれません。


■ 絵柄から読み取る「逆位置の隠者」

隠者は、知恵と探求を象徴する旅人です。
手に持つランタンは「真理を照らす光」。
でも――逆位置になると、その光が足元を照らさず、
どこに向かって歩いているのか分からなくなることがあります。

  • 内省が深まりすぎて、外との接点が失われる
  • 自分の世界にこもることで、視野が狭くなる
  • “自分探し”が“動けなさ”に変わる

静かに閉じていた扉が、
いつしか“開けられない扉”になってしまうような、そんなイメージです。


■ 紫運の読み:考えすぎて、逆に見えなくなるとき

占いの現場でも、このカードの逆位置はよく出てきます。
特に、こんなふうにご相談をいただくことがあります:

  • 「最近、誰とも会いたくないんです」
  • 「一人でいたいけど、でもたまにすごく寂しくなるんです」
  • 「頭ではやらなきゃって分かってるのに、体が動かないんです」

一見バラバラな言葉に見えても、そこには共通して《隠者・逆位置》の気配がにじんでいます。


実は私自身にも、思い当たることがあります。
たとえば、より良い占いの技法や表現を研究していると、
時間を忘れて没頭してしまうことがあります。

集中している間はとても楽しくて、気づけば外が明るくなっていることも。
この状態は、おそらく《隠者》の正位置です。
内なる探求の時間、知と静けさの喜び。

でも、そのままこもりすぎると、
だんだん思考が空回りし始め、集中も保てなくなってきて、
何もアウトプットが出なくなってしまう。

そんなときに、誰かに話しかけられると――
「今じゃない……!」とイライラしてしまって。
空気がピリついたこと、正直何度もあります。
……いや、ほんと、すみません。

静かに集中するはずが、気づけば“ただの孤立”になっていた。
そんな状態に、身に覚えがある方もいるのではないでしょうか。


■ 誰かの声に、耳だけ貸してみる

もし今、「誰にも会いたくない」と感じているなら、
無理に外に出る必要はありません。

たとえば、普段は聞かないラジオを、なんとなく流してみる。
本でもSNSでもない、“生きている誰かの声”が、
思いがけず心に届くことがあります。

誰かと会話しなくてもいい。
でも、誰かの言葉に、耳だけ貸してみる
それだけでも、閉じた扉のすきまから、
小さな風が入ってくることがあります。


■ キーワード比較

正位置:

  • 内省
  • 探求
  • 自己と向き合う
  • 静かな成熟
  • 精神的な距離感

逆位置:

  • 孤立
  • 思考のこじれ
  • 動けない
  • 行き詰まり
  • 殻にこもる

■ シーン別リーディング

💘 恋愛

  • 相手の気持ちを深読みしすぎて、動けなくなっている状態かもしれません。
  • 「一人になりたい」気持ちの裏側に、「傷つくのが怖い」自分が隠れていることも。
    → 小さな一言でも伝えてみることで、空気が変わる可能性があります。

💼 仕事

  • 完璧を求めすぎて、手が止まってしまっていませんか?
  • 誰にも相談せず、一人で抱え込んで疲れてしまっていることも。
    → 外に出してみると、一気に視界が晴れることもあります。

🤝 人間関係

  • 距離をとっていたつもりが、気づけば「ひとりぼっち」になっていた……なんてことも。
    → それでも、あなたを見てくれている人はきっといます。そっと戻ってみてください。

■ 今日のまとめ

《隠者・逆位置》は、「閉じること」の限界を教えてくれるカードです。

ひとりで考える時間も大事だけど、
外とつながることもまた、自分を整えるために必要なこと。

もし今、光が見えなくなっていたとしても――
それは、誰かの言葉やふとした会話の中で、
また灯りがともる予兆かもしれません。


■ 次回予告

次回は第10回。《運命の輪(逆位置)》の登場です。
静かな時期を抜けたあと、恋とチャンスの風向きが変わるとき――
流れを読む“星語り”をお届けします。


📝 書き手:晴風 紫運(しうん)
📷 Instagram:@HarukazeShiun

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