逆位置のコラム 第4回

タロットの書庫

その玉座、ただの椅子になってませんか?

— R: THE EMPEROR(逆位置 皇帝)—


守るための力が、いつの間にか「誰にも逆らわせない」ためのものになっていたら──

それはもう、“支配”じゃなくて“暴走”かもしれない。

THE EMPEROR(皇帝)の逆位置。

このカードを見たとき、私はふと、ある人物の顔が浮かびました。

■ 視覚で読む、逆位置EMPERORの要素

皇帝は本来、秩序・統制・守護・責任の象徴です。
その玉座に座る人は、“動かない強さ”を持つ存在。

でもこの皇帝は──違う。

甲冑をまとい、王冠をかぶり、杖を握りしめ、
背後には雷鳴と牛の影。
どう見ても威圧感はすごいのに、その目は苛立ちと焦りに濁っている。

座っているはずなのに、どこか“落ち着きのなさ”が滲んでいるのです。


このカードを描き出すとき、私が意識したのはこんな状態:

  • 「言うことは正しい。でも誰も従いたくない人」
  • 「支配というより、孤立」
  • 「怒ってるけど、本当はもう通用してない」
  • 「威厳だけが先走って、中身がついてきていない」
  • 「黙って座っていればよかったのに、口を開いた瞬間に崩れた王」

■ 紫運の視点:それでも、王だったのかもしれない

こういう人、たまにいますよね。

威圧感だけはすごくて、肩書きも立派で、周りも表面上は「はい」と従っている。
でも実際は、誰も心からはついてきていない。

言葉が大きくなるほど、
「言わなきゃいけないこと」が増えてくるほど、
その人の“中身のなさ”が透けて見えてしまうというか。

私も、昔そんな上の人がいて──
最後は、立場ごと崩れ落ちていきました。

でも誰も止めなかった。
止めようとすらしなかった。
その静けさが、逆に“答え”だった気がするんです。

威厳があったはずの人が、
座っていた玉座から立ち上がった瞬間、
「あっ、この人、もう“王”じゃないんだな」ってわかる。

あの感覚は、たぶん忘れられない。


■ このカードの象徴・キーワード

  • 【正位置】秩序・守護・責任・父性・指導力
  • 【逆位置】権威の崩壊・支配の暴走・怒り・孤立・形骸化したルール・反発される統率力

■ シーン別リーディング

💘 恋愛

「自分のルール」を押しつけてない?
相手が従ってるように見えて、内心は我慢しているかもしれません。

💼 仕事

立場にしがみついていないか。
怒鳴らずに語れる自分を、ちゃんと持てているか。
それが問われる時期です。

🤝 人間関係

「昔はうまくいってた方法」が、今は逆効果になっている。
なのにやり方を変えられない自分がいませんか?


■ 今日のまとめ

  • 皇帝の逆位置は、「支配の形骸化」や「威厳の暴走」を象徴する
  • 怒りや強さの裏にある“中身”を持たないと、人は離れていく
  • 本当の王は、怒鳴らない。静かに、守り、支えることができる人

📌 次回予告

次に登場するのは──

本来は“教えること”や“導くこと”の象徴であるはずの法王が、
逆位置になったとたん、壇上から“怒れる演説”を始めてしまった一枚。

目の前の人たちは笑ってる。でも、それって「賛同」じゃないんですよね。

声だけが大きくなったとき、“教え”は“暴言”に変わる。

第五回は、「伝える力」が暴走した男の話です。


🧙‍♀️ 紫雲 – Shiun

タロットと紫微斗数を中心に活動する占い師。
「カードの絵柄は、心の鏡」をモットーに、ゆるやかに読み解いています。

📷 Instagram:@HarukazeShiun

タイトルとURLをコピーしました